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校務支援システムの運用による校務改善の経時調査
校務支援システムの運用による校務改善の経時調査
校務支援システムの運用による校務改善の経時調査の概要は、以下の通りである。
調査のねらい
校務の状況、校務支援システムの機能の必要感に関する意識の変容を経時的に分析することによって、システム運用の時間経過に伴う校務の改善について明らかにする。
【調査1】質問紙調査
調査対象・調査方法
校務支援システムを導入した公立小・中学校14校の教員310人を対象とした。対象校14校では、2011年10月頃にシステムを導入し、2012年4月下旬までに運用を開始している。導入したシステムは同一のもので、学籍・出欠・成績の管理や児童生徒の学習履歴等の情報共有ができるシステムである。
校務支援システムの運用前・1学期後・学年末の3回において、同一項目・同じ設問の表現で質問紙調査を行った。運用前は2012年4月下旬、1学期後は2012年7月下旬、学年末は2013年3月下旬に実施した。
調査項目
各教員に対して、回答者の基本情報、校務の状況、校務支援システムの機能の必要感に関する質問を行った。
【回答者の基本情報】4項目
回答者の分掌、教員歴、授業でのPC活用頻度、校務でのPC利用頻度について、選択肢の中から回答を求めた。
【校務の状況】6項目
校務支援システムによって期待される効果として6項目を提示した。6項目についてどのように感じているかをたずね、「4:とてもそう思う」から「1:全く思わない」までの4段階で回答を求めた。
項目名 設問
1 出欠状況の把握 学校内で、出欠状況や長期欠席の状況を把握できていると思いますか。
2 転記ミスの少なさ 校務での転記や集計のミスが少ないと思いますか。
3 個人情報の保護 名簿や成績の管理など、児童生徒の個人情報が安全に保護されていると思いますか。
4 情報共有 名簿や成績、公文書などについて、教師間で情報を共有できていると思いますか。
5 評価内容の質的向上 学習に関する評価内容が質的に向上したと思いますか。
6 効率的な処理 名簿や成績、文書作成などの校務を効率的に処理できていると思いますか。
【校務支援システムの機能の必要感】10項目
校務支援システムに実装されている典型的な機能として10機能を提示した。10機能について必要な機能だと思うかをたずね、「6:非常に必要である」から「1:全く必要でない」までの6段階で回答を求めた。
機能名 機能説明
1 成績・所見の入力支援 成績や所見を入力する時に、前学期の成績や生徒指導情報、顔写真、所見の定型文などを参照できる機能
2 成績一覧表の印刷 入力されている個々の成績から学級単位の成績一覧表を自動的に作成し、印刷できる機能
3 通知表の印刷 入力されている成績や所見から児童生徒個々あるいは学級全体分の通知表を印刷できる機能
4 出欠状況の把握 当日の学級別欠席・遅刻・早退者数やその理由別人数、および長期欠席者の欠席日数や欠席理由を一覧で見ることができる機能
5 通知表レイアウトの編集 項目やレイアウトを調整し、学校独自の様式で通知表を作成できる機能
6 テスト結果の集計・印刷 入力されているテストの得点から学級・学年単位の集計表、児童生徒それぞれの得点推移表や進路指導資料などを自動的に作成し、印刷できる機能
7 学習履歴の把握 児童生徒それぞれの過去年度の出欠情報や成績情報などを見ることができる機能
8 生徒指導情報の共有 教員が把握した児童生徒それぞれの活動の様子や配慮事項などを必要に応じて教員間で共有・参照できる機能
9 家庭への連絡メール 入力されている保護者や地域の人のメールアドレスに学校から連絡メールを一斉送信できる機能
10 学校日誌の作成 入力されている行事予定・教員の出張・年休・義務免除・特休などの情報をもとに自動的に学校日誌を作成できる機能
【調査2】インタビュー調査
調査対象・調査方法
質問紙調査に回答のあった学校の中から、校務支援システムを導入した公立小学校2校の教員10名を対象とした。対象者は、各校で職位が「校長」、「教務主任」、「中堅教諭」、「若手教諭」、「養護教諭」の教員である。教職年数が20年程度の教諭を「中堅教諭」、5年程度の教諭を「若手教諭」としている。
インタビューは、校務支援システムの運用後に実施した。10名個別に行い、1人あたり30分程度で実施した。
調査項目
校務の状況や校務支援システムを運用して便利になった点等について質問した。